写文集
豊作祈願 ゲロゲロゲロ―。辺りには蛙の鳴き声しか聞こえない。 私はその音を心地良く感じつつも、暗闇にびくびくしながら三脚を立てた。そして、シャッターを切った。 数十秒後、カメラのプレビュー画面に写ったのは流れ星だ。それはまるで、早苗たちが秋の…
旅情 幼き頃、特急列車に乗り旅を楽しんでいたのをたまに思い出す。何百キロも移動し、見たこともない景色、時間帯によって移り変わる車窓に胸が高鳴っていた。それが、私が“鉄道の世界”に引き込まれた理由の1つだろう。 現在、私の地元には「クロスシート」…
君が居た記憶 純白な羽で岩手に舞い降りた君。餌を追い求めて田んぼで泥んこになった君―。 それが、ちょっと前までの日常だった。だけど、それも今は記憶でしかない。 今日見たのは、冬の終わりを告げる“羽根”。 * * * * * * * * * * What is "写文集"? 「写…
万代不易 約100年の歴史があるJR釜石線。全24の駅があり、その中の1つ「小山田駅」が2月15日にリニューアルした。 だけど、新駅となっても駅を気動車が駆け抜ける景色は今も昔も変わらない。毎日、毎日―。そんな日本の原風景、“大切な日常”がこれからも永遠…
光のラベンダー 一面に広がる“光のラベンダー”。美しき紫の世界だ―。 ここは、岩手県岩手町にある「石神の丘美術館」。夏には屋外展示場にある斜面いっぱいにラベンダーが咲き誇る。 そんな季節とは程遠い2月、冷たい空気が肌に沁みるなか小高い丘の頂上を目…
2018年1月31日。皆既月食の日だ。 「スーパー・ブルー・ブラッドムーン」と呼ばれる月を見ようと空を見上げる。だか、そこには面影が全く無い。「しばらく見えそうにないな」。そうやって項垂れて下を向くと、地面には昼間に降った雪があった。街灯に照らさ…
『盛岡の光』 寒い寒い、盛岡の冬の夜。一説では、本州一寒い市町村らしい。 だけど、勇気を出して外へ一歩を踏み出してみよう。そこでは、輝く盛岡の光が、美しい光景があなたを待っている―。 * * * * * * * * * * What is "写文集"? 「写真と文章で“もっと…
『Crossroads』 車や人々が歩みを進める“日常”。 それを少し高い所から見下ろす“非日常”。 信号待ちをする車、足早に歩く人々―。道をゆく彼らは見られている事を想像もしてないだろう。ちょっと贅沢な非日常な時間が流れていく。 そんな日常と非日常の“交差…
『Dynamism』 「―君はいつ此処を通ったの??」 風が吹き、雪はもう硬くなっている。昼に通ったのだろうか、夜に通ったのだろうか。一人で寂しくなかったのだろうか―。 ざくっ。ざくっ。この景色をどう見て、どう感じて歩いたのだろうか。そんな事に思いを馳せ…